9月 リンドウ
夏の終わりに咲くリンドウは、秋のおとすれを思わせるような静かな花です。
花びらは他の花々と違って、開かず、ふっくらと閉じています。
そして先端だけそっと開きます。
紫に近い青は、これからの夜長をゆっくり味わう気持ちにさせてくれます。
マイペースな花リンドウ
リンドウが咲くのは小高い丘の上で、日当たりのよい場所にポツンと潅木で成長します。
他の植物や花と同調しないような孤立感がありますが、けっして悪い場所で成長しません。
ゆうゆうとよい場所を占有して、競争することなく花を咲かせます。
潅木の枝とも言える幹に、かわいくふくらんだ花びらをつけた花は、いくつかのマスでかたまり、そして節のように、そのマスの花群が段になっています。
内向的であまり語らない花は、自分を開花させるには、自信がなく、マスで表現しているかのようです。
全開してかぐわしい香りを放つ花とは違って、香りもなく、花もほとんどひらかないリンドウは、種の生存に関心があるのでしょうか。
自分を表現するのがニガテというところに、日本的な感じがします。
夏の終わりに花期がくるというところは、アウトロー的な要素があります。
香りはあまりありませんが、初秋の香りをただよわるリンドウを生けてみましょう。
厳しい夏の酷暑ももう終わり、秋が近づいていることを感じるでしょう。
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