9月 タイムの香り
シソ科 イブキジャコウソウ属
シソ科のタイムは日常的に使わるハーブではありませんが、強い香のハーブです。
香成分のひとつであるチモールは、強い抗菌作用があり、防腐作用もあります。
よく魚の匂い消しやお料理にも使われます。
精油でタイムチモールという種類がありますが、手術室の消毒にも使われてきました。
タイムの香は強い消毒薬の香と形容するのが近いと思います。
古代アテネやローマでは、寺院や公共の建物では焚香としてタイムが燃やされていたそうです(『ハーブの楽しみ』八坂書房)
タイムの強力な抗菌作用が感染症をもたらす有害な生き物を駆除する働きがあったと思います。
タイムの抗菌作用はジェラードやカルペッパーらによって、人の病気の治癒にも用いられて活躍してきました。
タイムビネガー、タイムの花の蜂蜜、シロップとまぜたもの、リキュールなど家庭の常備薬的な役割も果たしてきました。
古代人はタイムの香を「男らしい香」として特別に思っていたようです。
勇気、品位、優雅などの意味を含みました。
ローマ人の時代が終わっても、中世の貴婦人たちは、騎士のスカーフに勇気の象徴として1匹の蜂とタイムの小枝を刺繍しました。
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